「実家を解体したいけれど、家の中にある家具や家電はどうすればいいの?」「残置物の処分費用が高額になると聞いたけれど本当?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
解体工事において、建物内に残された物品(残置物)の扱いは非常に重要です。
実は、残置物をそのままにして解体業者に処分を依頼すると、法律上の扱いが変わり、処分費用が大幅に跳ね上がる可能性があります。
環境省も残置物の適正処理について注意喚起を行っており、正しい知識を持たずに解体を進めると、思わぬトラブルや高額請求につながりかねません。
本記事では、解体工事における残置物の定義から、環境省のルール、一般廃棄物と産業廃棄物の違い、そして撤去費用を安く抑えるための補助金活用法まで詳しく解説します。
解体工事を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
- 解体工事における残置物とは
- 解体残置物とは何か
- 解体工事で残存する物品とは
- 建物解体で残していいもの
- 解体工事の残置物の扱い(環境省のルール)
- 建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)
- 環境省の残置物適正処理のお願い
- 環境省残置物リーフレットの内容
- 解体工事で出る残置物の分類
- 残置物は一般廃棄物か産業廃棄物か
- 解体工事残置物と一般廃棄物
- 解体工事の産業廃棄物排出事業者
- 解体工事の残置物処分方法
- 解体工事残置物処分の流れ
- 残置物の処分には許可が必要か
- 残置物の適正処理
- 残置物の処理責任は誰にある?
- 残置物の処理責任
- 残置物撤去費用は誰が払う
- 残置物処分費用の請求
- 解体工事の残置物撤去費用
- 残置物処分費用相場
- 戸建ての残置物撤去費用
- 残置物撤去費用100万円になるケース
- 残置物撤去費用の補助制度
- 残置物撤去費用補助金
- 自治体の空き家対策補助金
- 補助金を利用する際の注意点
- まとめ
解体工事における残置物とは

解体工事を依頼する際、よく耳にする「残置物」という言葉。
まずはその定義と、具体的にどのようなものが該当するのかを解説します。
解体残置物とは何か
解体残置物とは、解体する建物の中に残されたままになっている家具、家電、日用品、ゴミなどの物品全般を指します。
本来、建物を解体する前には、建物の中を空っぽ(スケルトン状態)にしておくのが原則です。
しかし、空き家になって長期間放置されていたり、遺品整理が追いつかなかったりして、多くの物品が残されたまま解体工事を迎えざるを得ないケースが多々あります。
これらが「残置物」として扱われます。
解体工事で残存する物品とは
具体的に解体工事で残存する物品には、タンスやベッド、ソファなどの大型家具、冷蔵庫やテレビなどの家電リサイクル法対象品目、衣類、食器、布団、本、さらには庭に放置された自転車や植木鉢なども含まれます。
これらは建物の構造物(木材やコンクリートなど)とは明確に区別され、解体工事の廃材とは異なる処分ルートをたどる必要があります。
建物解体で残していいもの
原則として残置物はすべて撤去すべきですが、例外的に「建物解体で残していいもの」もあります。
それは、建物と一体化している造作家具(壁に作り付けられた棚など)や、エアコン(取り外しに専門工事が必要な場合)、システムキッチン、ユニットバスなどです。
これらは建物の解体と同時に「産業廃棄物」として業者が処分することが一般的です。
ただし、事前に解体業者と「どこまで残していいか」を明確に打ち合わせておくことが重要です。
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解体工事の残置物の扱い(環境省のルール)

残置物の処分については、環境省が明確なルールとガイドラインを定めています。
これを無視すると違法行為となる可能性があるため注意が必要です。
建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)
環境省は、「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」という通知を出しています。
この通知の核心は、「建物内に残された残置物は、原則として建物の所有者(発注者)が『一般廃棄物』として事前に処分しなければならない」という点です。
解体業者が建物の解体に伴って発生する廃材(産業廃棄物)と一緒に、残置物をまとめて処分することは、廃棄物処理法上、不適切とされています。
環境省の残置物適正処理のお願い
環境省は各自治体や解体業者を通じて、「残置物の適正処理のお願い」を広く周知しています。
これは、不法投棄の防止や、リサイクル可能な資源の適切な分別を促進するためです。
特に、家電リサイクル法対象品目(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)や、パソコン、消火器などの危険物は、通常のゴミとしては処分できず、それぞれ定められたルートで適正に処理することが強く求められています。
環境省残置物リーフレットの内容
環境省が発行している残置物に関するリーフレットでは、発注者(施主)向けに「解体工事前に家の中を空にすること」の重要性がイラスト付きで分かりやすく解説されています。
また、自分で処分できない場合は、市区町村の許可を受けた「一般廃棄物収集運搬業者」に依頼するよう案内されています。
解体業者に丸投げすることは、法律違反のリスクだけでなく、費用が高騰する原因になることも明記されています。
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解体工事で出る残置物の分類

残置物の処分費用や依頼先を理解するためには、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の違いを知ることが不可欠です。
残置物は一般廃棄物か産業廃棄物か
結論から言うと、家庭から出た家具や家電、日用品などの残置物はすべて「一般廃棄物」に分類されます。
一方、建物を解体した際に出る木くず、コンクリート片、ガラスくずなどは「産業廃棄物」に分類されます。
廃棄物処理法では、一般廃棄物と産業廃棄物は処理責任者や処理ルートが全く異なるため、これらを混同して処理することは厳しく禁じられています。
解体工事残置物と一般廃棄物
残置物が「一般廃棄物」である以上、その処理責任は「ゴミを出した本人(建物の所有者)」にあります。
そのため、所有者自身が自治体の粗大ゴミ回収に出すか、自治体のゴミ処理施設に直接持ち込むのが最も正しい(かつ安価な)処分方法です。
もし業者に依頼する場合は、必ずその自治体の「一般廃棄物収集運搬業の許可」を持っている業者でなければなりません。
解体工事の産業廃棄物排出事業者
建物の解体によって発生する「産業廃棄物」の排出事業者は、建物の所有者ではなく「解体業者(元請業者)」となります。
解体業者は、自らの責任で産業廃棄物を適正に処理(または許可業者に委託)する義務があります。
しかし、解体業者は通常「産業廃棄物」の収集運搬許可しか持っていないため、家庭の残置物(一般廃棄物)を運搬・処分することは法律上できないのです。
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解体工事の残置物処分方法

では、実際に残置物を処分するにはどのような手順を踏めばよいのでしょうか。
具体的な処分方法を解説します。
解体工事残置物処分の流れ
最も推奨される流れは以下の通りです。
まず、リサイクルショップやフリマアプリを活用して、売れるものを現金化します。
次に、知人に譲るなどして品数を減らします。
残ったもののうち、自治体の家庭ゴミとして出せるものは計画的に集積所へ出します。
そして、大型家具などの粗大ゴミは自治体の回収サービスを利用するか、処理施設へ自己搬入します。
どうしても自分たちで処理しきれない分だけを、許可業者に依頼します。
残置物の処分には許可が必要か
他人の家庭から出た残置物(一般廃棄物)を回収・処分して利益を得るには、市区町村長が発行する「一般廃棄物収集運搬業の許可」が絶対に必要です。
よく街中を軽トラックで巡回している「不用品無料回収」を謳う業者の多くは、この許可を持たない違法業者の可能性があります。
違法業者に依頼すると、不法投棄された場合に依頼主(建物の所有者)も責任を問われる恐れがあるため、必ず許可の有無を確認しましょう。
残置物の適正処理
解体業者の中には、「残置物も一緒に処分しておきますよ」と請け負ってくれるところもあります。
この場合、解体業者が自社で「一般廃棄物収集運搬業の許可」を持っているか、あるいは許可を持つ提携業者に委託する形をとっていれば適正処理となります。
しかし、無許可で産業廃棄物に混ぜて処分しようとする悪質な業者も存在するため、見積もりの段階で「残置物はどのように処分するのか」を明確に確認することが重要です。
残置物の処理責任は誰にある?

空き家や相続物件の場合、残置物の処理責任が誰にあるのかで親族間トラブルになることがあります。
残置物の処理責任
残置物の処理責任は、原則として「その建物の現在の所有者」にあります。
親が亡くなり実家を相続した場合、相続人が建物の所有者となるため、残置物の処理責任も相続人が負うことになります。
複数人で共有名義にして相続した場合は、共有者全員で責任を負うことになります。
解体業者に責任を押し付けることはできません。
残置物撤去費用は誰が払う
相続物件の残置物撤去費用は、相続人同士で話し合って負担割合を決めるのが一般的です。
代表者一人が立て替えて支払い、後から遺産分割協議の中で精算するケースが多いです。
また、不動産を売却してその利益から解体費用と残置物撤去費用を差し引くという方法もあります。
いずれにせよ、誰が払うかで揉めないよう、事前に親族間でしっかりと合意形成をしておくことが不可欠です。
残置物処分費用の請求
解体業者に残置物の処分を依頼した場合、解体工事費用の見積もりとは別に「残置物処分費用」として請求されます。
この際、どんぶり勘定で「一式〇〇万円」と請求してくる業者には注意が必要です。
適正な業者であれば、トラック何台分か、あるいは立米(㎥)あたりいくらかといった明確な根拠に基づいて請求を行います。
不当な高額請求を防ぐためにも、内訳をしっかり確認しましょう。
解体工事の残置物撤去費用

残置物の撤去を業者に依頼した場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか。
相場と高額になるケースを解説します。
残置物処分費用相場
残置物の処分費用は、荷物の量(トラックの積載量)で計算されるのが一般的です。
相場としては、軽トラック1台分で約2万〜4万円、2トントラック1台分で約5万〜8万円程度です。
これに、作業員の人件費(1人あたり1日1万〜1.5万円程度)や、家電リサイクル料金などが加算されます。
自分で処分すれば数千円〜数万円で済むものが、業者に依頼すると数倍の費用がかかることになります。
戸建ての残置物撤去費用
一般的な4LDKの戸建て住宅で、家具や家電、生活用品がそのまま残っている状態(生活していた状態そのまま)から業者にすべて撤去を依頼した場合、費用の相場は30万円〜50万円程度になります。
長年住み続けた実家などは、押し入れや物置に大量の不用品が眠っていることが多く、予想以上にトラックの台数が必要になり、費用が膨らむ傾向があります。
残置物撤去費用100万円になるケース
残置物の撤去費用が100万円を超えてしまうケースも実際に存在します。
それは、いわゆる「ゴミ屋敷」状態になっている場合です。
床が見えないほどゴミが堆積している、屋外にまで不用品が溢れている、生ゴミや液体が入った容器が大量にあるといった場合、分別や搬出に多大な時間と人員を要するため、費用が100万円〜200万円に達することもあります。
このような事態を防ぐためにも、日頃からの整理整頓が重要です。
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残置物撤去費用の補助制度

高額になりがちな残置物撤去費用ですが、自治体の補助金制度を活用できる場合があります。
残置物撤去費用補助金
一部の自治体では、空き家の解消を促進するため、解体費用だけでなく「残置物撤去費用」に対しても補助金を交付しています。
例えば、「空き家家財道具等処分費補助金」といった名称で、撤去費用の1/2(上限10万円〜20万円程度)を補助してくれる制度があります。
すべての自治体で実施しているわけではないため、物件がある市区町村のホームページや窓口で確認することが必須です。
自治体の空き家対策補助金
残置物撤去単独の補助金がなくても、空き家を解体して更地にする、あるいは空き家バンクに登録して賃貸・売却するといった「空き家対策」の一環として、総合的な補助金が用意されていることがあります。
これらの制度の対象経費の中に、残置物の処分費用が含まれているケースもあるため、解体や活用の計画全体を自治体に相談してみるのが良いでしょう。
補助金を利用する際の注意点
補助金を利用する際の最大の注意点は、「必ず業者と契約する前、あるいは作業を開始する前に申請を行うこと」です。
すでに撤去作業が終わってしまってからでは、いかなる理由があっても補助金は受け取れません。
また、自治体が指定する許可業者を利用することが条件になっている場合も多いため、制度の要綱を熟読し、手順を間違えないように進めることが重要です。
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まとめ

解体工事における残置物は、環境省のルールにより「一般廃棄物」として建物の所有者が責任を持って処分することが求められています。
解体業者に丸投げすると、産業廃棄物との混載による違法リスクや、数十万円単位の高額な処分費用が発生する可能性があります。
費用を抑えるためには、できる限り自分たちで自治体のゴミ回収などを利用して処分を進めることが最も効果的です。
また、自治体によっては残置物撤去費用の補助金制度が用意されている場合もあるため、解体前に必ず確認しましょう。

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